こんにちは、デリナビ!管理人のじぇいぴーです。
今回は、全国に展開しているフードデリバリーの大手プラットフォーマー5社の配達員(業務委託の個人事業者)を対象に、業務に関する満足度調査を実施いたしました。
この記事の内容は、出前館が3冠達成をうたっている配達員満足度調査について、おかしいところがないかどうかをしっかりと精査し、さらに同様の調査項目について、あらためて独自にアンケート調査を実施し、先の満足度調査を検証するといった内容になっています。
- 総合満足度
- 報酬満足度
- サポート満足度
結論的な内容を先に申し上げますと、デリナビ!による独自調査の結果、出前館は、Uber Eats(ウーバーイーツ)とWolt(ウォルト)が除外された満足度調査の結果を受けて『3冠達成』と宣伝している可能性が高いことがわかりました。
なぜ、このような疑いを持つに至ったのかについて、詳しくご説明していきます。
余談ですが、次の本は、私が愛読している出前館COOの藤原彰二氏(元LINE Pay株式会社CMO)の著書です。この本では客観的にみて「それっておかしくね?」と思ったことを、素直に「おかしい」といえることが大事だということを教えてくれています。
今回の記事は奇しくも「それっておかしくね?」を実践したものとなりました。
【それっておかしくね? 「素朴な問い」から始める出前館のマーケティング思考】
※ デリナビ!の管理人は、出前館には健全に発展して欲しいと切に願っている出前館の株主のひとりなので、出前館を貶めるといった意図は一切ありません。
目次
1.出前館公式募集サイトの記載
出前館の業務委託配達員の公式募集サイトでは、以下のように「配達員満足度3冠獲得」と大々的にアピールされています。公式ページ
私は、まずこちらの「総合満足度」と「サポート満足度」に違和感を覚えました。
なぜなら、日々Twitterやブロガー仲間との意見交換の中で、報酬満足度は出前館が一番高いものの、総合満足度はUber Eats が高く、サポート満足度ではWoltがダントツで高いと認識していたからです。
もしかしたら、満足度調査の過程で恣意的な印象操作がなされているかもしれないと思ったので、独自に検証することとしました。
調査期間が異なり同じ状況で調査ができないため、まったく同じ結果がでるものではないことを予めご了承ください。
- 出前館公式サイトで示されている調査方法を精査
- Twitterを活用し満足度を再調査
- 調査結果を分析
2.出前館の配達員募集ページの「満足度調査」の精査
虫眼鏡で見ないと読めないような小さなフォントで書かれている調査概要を書き出してみました。
- 調査概要:フードデリバリー4サービスを対象にした配達員満足度調査
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:20歳~69歳、全国、各サービスの配達員経験者200名以上
- 調査会社:株式会社ショッパーズアイ
- 調査期間:2021年10月22日~27日(6日間)
- 比較対象企業:「フードデリバリーサービス」Google検索上位3社(2021年9月29日22時00分時点)※ 記事、広告を除く、200サンプル以上のもの
いくつかおかしい点がありますので以下に整理してみます。
❶ 比較対象企業がおかしくね?
業務委託配達員の満足度を調査して同業他社と比較する場合、ライバル企業と比較するのが通常です。
このライバル企業は、出前館がKPI(重要業績評価指標)としている「アクティブユーザー数」、「加盟店数」、「オーダー数」や、「配達員登録者数」、「売上」、「アプリ利用者数」など、数的に根拠のある方法で選択されるべきです。
そもそも個人事業主である業務委託の配達員にとって、フードデリバリーで大手といえば、一般的に次の8社が挙げられますので、アルバイトメインの楽天とシェアの少ないDoor Dashを除いた6社を調査対象とするべきでしょう。
この6社はアプリ利用者数上位の常連ですので、この6社を調査せずに業務委託配達員の募集ページで「配達員満足度3冠獲得」などと宣伝するのは、私はおかしいと思います。
- Uber Eats(ウーバーイーツ)
- 出前館
- menu
- didiFood
- foodpanda(現在は撤退済)
- Wolt
- 楽天(アルバイトメイン)
- Door Dash(エリア限定的)
ところが、出前館の公式募集サイトで表示されている株式会社ショッパーズアイさんの調査では、出前館以外に「3社のみ」を調査対象としており、しかもその3社の選別方法が、Google検索で「フードデリバリーサービス」と検索したときに表示された上位3社といっています(2021年9月29日時点の検索結果)。
しかし、Googleの検索結果は、Googleのアルゴリズムによってコロコロ変更されるものですし、「フードデリバリーサービス」という検索キーワードで検索したところで、各社の市場シェアもわかりませんし、配達員の数やアプリのユーザー数もわかりませんので、このキーワード選択に恣意的なものを感じます。
試しに当記事をまとめている2022年2月19日現在において、Google(シークレットモード) で「フードデリバリーサービス」と検索してみました。
驚くべきことに、「フードデリバリーサービス」というキーワードでは、Uber Eats(ウーバーイーツ)とWolt(ウォルト)の公式サイトが表示されませんでした。
「フードデリバリーサービス」と検索して表示されたフードデリバリープラットフォーマーのホームページは、以下の企業のものです。
- menu:アプリ利用者数3位
- foodpanda:2021年12月に日本撤退を表明
- 出前館
- Chompy:2021年夏にデリバリー事業からアプリ開発事業に方向転換
- Door Dash(アプリのダウンロードページ)
5.以降、フードデリバリーサービスのホームページは、検索結果に出てきませんでした。
ご自身で検索してみる場合は、自分用に自動的にカスタマイズされた検索結果がでないように、Googleの「シークレットモード」で検索してみてください。
これで「フードデリバリーサービス」というキーワードが、フードデリバリープラットフォーマーのランキングを表すものではないことがご理解いただけるかと思います。
株式会社ショッパーズアイさんが調査した2021年9月29日時点の検索結果がどうだったのかは、今となっては確認する手段がありません。
もしかしたら当時はUber Eats(ウーバーイーツ)が検索上位に表示されていたのかもしれませんが、株式会社ショッパーズアイさんがなぜ「フードデリバリーサービス」というあまり意味のない検索キーワードを使って比較対象企業を選別したのか、その疑問はどうしても残ってしまいます。
もしかして、株式会社ショッパーズアイさんは、大手のUber Eats(ウーバーイーツ)とWolt(ウォルト)を除外して、menu、foodpanda、Chompyのみを出前館の比較対象企業に選んだのでしょうか?
Googleの検索結果を活用して調査対象企業を絞るのであれば、各社のサービス名で検索し、その検索結果数で上位6社を選択する方がまだマシかと思います。
試しに検索してみた結果は以下の通りです。
- menu:4,160,000,000件
- DoorDash:1,160,000,000件
- foodpanda:58,500,000件
- UberEats:41,700,000件
- Wolt:20,400,000件
- 出前館:18,200,000件
- Chompy:1,160,000件
- DiDiFood:447,000件
こっちの方法だと出前館のライバル企業であるUber Eats(ウーバーイーツ)とWolt(ウォルト)がちゃんと入っていますので、こっちの方が比較対象企業の選択方法として優れているのではないでしょうか?
こういった結果をみると、「フードデリバリーサービス」という検索キーワードで比較対象企業を選別することが、クライアントにとって都合が良かったのではないかと疑ってしまうのは私だけでしょうか。
調査を依頼したクライアントも調査内容については承知しているものと思われるので、配達員を騙すような意図がないといいのですが...
もし万が一、出前館の比較対象企業が本当にfoodpanda、menu、Chompyだけだったら、それっておかしくね?
【それっておかしくね? 「素朴な問い」から始める出前館のマーケティング思考】
なお、株式会社ショッパーズアイさんの調査の比較対象企業の選択方法の注意書きに「記事、広告を除く、200サンプル以上のもの」という文言があります。
この200サンプルとはアンケートの回答数を意味するものと思われますが、サンプル数が200未満の比較対象企業があったのか、なかったのか、もしあった場合どのように取り扱ったのかについては明記されておりません。
疑ったらキリがないのですが、もしかしたらサンプル数が足りないという理由でChompy(サポート満足度が高そう)も比較対象企業から除外しているかもしれません。
❷ 調査内容がおかしくね?
まず、インターネット調査とはどのようなものなのでしょうか?
満足度調査は、各フードデリバリー配達員に回答してもらわないといけないはずですが、どのように各フードデリバリーの配達員を特定し回答してもらっているのかが書かれておらずよくわかりません。
次に、株式会社ショッパーズアイさんは、配達員に対していったいどのような質問をしたのでしょうか。
通常、満足度調査といえば、各サービスそれぞれの利用者に対して、満足、やや満足、やや不満、不満 などの質問をして、評点を振って集計したり、比率を求めたりするのが一般的ですが、その方法、結果について出前館の配達員募集サイトに記載されていないはおかしくね?
なにが3冠なの?
❸ 調査対象人数がおかしくね?
調査対象について、『20歳~69歳、全国、各サービスの配達員経験者200名以上』と記載されていますが、合計何名からアンケートを取ったのかが不明瞭です。
4社を調査しているので200名以上×4社で合計800名以上なのか、それとも4社合わせた合計が200名以上なのかが明記されておりません。
もしChompyが比較対象に含まれているとしたら、配達員総数の少ないChompyの配達員から6日以内に200以上のアンケートを取るのは難しいのではないでしょうか。
株式会社ショッパーズアイさんの調査の比較対象企業の選択方法の注意書きには「記事、広告を除く、200サンプル以上のもの」という注意書きがありますので、各サービスについて200サンプル必要としているようにも読めます。
但し、サンプル数が200に満たなかった場合、比較対象企業がどう扱われるのかが不明確ですね。
そもそもですが、比較対象企業を明記しないのはおかしくね?
なんら不正をしていないのであれば明記すれば良いと思うのですが...
❹ 調査目的がおかしくね?
配達員満足度調査の目的はなんなのでしょうか。
満足度の調査であれば、出前館の業務に対して配達員の満足度(スコアや比率)がどの程度なのか表示されるべきですが、その肝心の満足度が書かれていません。出前館の満足比率(やや満足及び満足と回答した人の全体に占める割合)が10%なのか40%なのかが不明です。
仮に総合満足度に関する満足比率が40%だったとして、これは高いのでしょうか?それとも低いのでしょうか?判断基準がないのでわかりませんよね。
この調査からいったい何がわかるのでしょうか?実はなにもわかりません。
調査会社は「他社と比較して、相対的に満足度が高いということがわかる」というかもしれまんせん。
しかし、他社の企業名とその企業の満足度(スコアや比率)が明記されていないため、相対的に比較することもできません。
ここで、仮に出前館の配達員の総合満足度に関する満足比率(やや満足及び満足と回答した人の全体に占める割合)が30%だったとします。
その時、70%の配達員が満足していないということなのですが、他社の満足度が自社のそれよりも低ければ、出前館は「満足度3冠獲得!」といってよろこんで良いのでしょうか?
私はそうは思いません。
なお、出前館の業務委託配達員募集ページにはただ単に「配達員満足度3冠獲得」と書いてあるだけで、「出前館の満足度」、「比較対象企業の満足度」は書いてありません。さらに「比較対象企業がどこなのか」も一切わかりません。
出前館さん、それっておかしくね?
【それっておかしくね? 「素朴な問い」から始める出前館のマーケティング思考】
独自に満足度調査をした結果
上記の通り、株式会社ショッパーズアイさんの調査結果だけでは、満足度が一位の企業を特定することができなかったので、デリナビ!の管理人がTwitterで独自にアンケート調査を行いました。
Twitterで情報収集しているフードデリバリー配達員は非常に多いので、Twitterでのアンケートは、かなり正確に配達員の気持ちを反映できるのではないかと思っています。
- 調査方法:Twitterで各サービスの配達員向けにアンケートを発信
- 調査期間:2022年2月16日~2月18日の3日間(但し、出前館とUber Eatsの報酬満足度調査は16日の1日のみ)
- 調査対象企業:フードデリバリ-大手5社
- 採点方法:満足5点、やや満足4点、やや不満2点、不満1点として加重平均
下記の画像を拡大すると、各社・各アンケートについて、回答者数、回答割合、配点、得点、ランキングをみることができます。
- 1位:Uber Eats(ウーバーイーツ)
- 2位:Wolt
- 3位:menu
- 4位:DiDi Food
- 5位:出前館
総合満足度No.1のUber Eats(ウーバーイーツ)に登録するには以下の記事をご覧ください。
- 1位:出前館
- 2位:Uber Eats(ウーバーイーツ)
- 3位:Wolt
- 4位:menu
- 5位:DiDi Food
報酬満足度が圧倒的にNo.1の出前館の登録をするには以下の記事をご覧ください。
- 1位:Wolt
- 2位:Uber Eats(ウーバーイーツ)
- 3位:DiDi Food
- 4位:menu
- 5位:出前館
サポート対応満足度が圧倒的にNo.1のWolt(ウォルト)に登録するには、以下の記事をご覧ください。
以上の通り、デリナビ!独自の調査では出前館の3冠とはならず、概ね調査前のイメージと近しい結果となりました。
株式会社ショッパーズアイさん、いったい何をどのように集計したら出前館が3冠となるのでしょうか?
もしよかったら調査手順(比較対象企業も)をご教示いただけませんか?
Twitter(@uberpartnerjp)にDMしていただけると幸いです。
かつての出前館は、ビジネスパートナーを騙すような宣伝をする企業ではなかったのですが、まるでひとが変わったようになってしまいました。
いつからこうなってしまったのでしょうか^^;
出前館さん、満足度調査のチェックも頑張ってください!応援してますよ!